2013年5月30日木曜日

山中隠れ家レストラン(1)


 
<てくてく>

 
もうだいぶ歩いたね、ミカワ・・・。

 
そうだな・・・。 かれこれもう2時間はこの山道をさまよってるんじゃないか。 せっかくのバカンスが・・・、台無しだぜ。

 
長官の支持もあってお休みもらったけど、ボクたちお金ないからそんなに遠くに行けないんだよね。( ̄▽ ̄)

 
まったくもって切実だぜ。 この国のアベノミクス効果はいつやって来るんだ、オレたちに。

 
チッチッチ。 経済というものは、もう少し長い目で見ないと、ミカワ。

 
急に悟ってんじゃねーよ・・・。( ̄▽ ̄) それにしても、お前が言ってた"お店"まではまだ歩くのか?

 
うーん。 じいちゃんがこの辺りだって言ってたんだけどなー。

 
お前のじいちゃんの情報ってことは、10年以上前の話だろ。 ノリで来たものの信憑性薄いよな、今考えれば。

 
"安くて、うまくて、たらふく食える"って聞いたら、いても立ってもいられなかったからね。

 
お前にもう少し理性というものが多めに含まれていれば、2時間も山の中を歩くハメにはならなかったんだが・・・。

 
おかげでお中ペコペコだよ・・・。

 
バカヤロー。 オレだって我慢してるんだからなー。 

 
コジローは元気そうでいいなー。 お中すかないのかなー?

 
ワン!

 
オレがさっき携帯用のドッグフードをあげたからな。 まだ大丈夫だろ。

 
えぇーっ!? なんだってーッ!! コジローだけずるいよー! ひどいや、ミカワーッ!

 
だから、お前がそもそもの言いだしっぺだろ! 少しは我慢しろ。 ペットにジェラシーを燃すんじゃない。

 
ちくしょぉ。 お中へったぁ・・・。 ん? あぁッ!? キノコだー!! おいしそー☆

 
む? 待て! 落ち着け、のぶおッ! その色からして、きっとタダ者ではないぞ、そのキノコは。 食べない方が身のためだ。

 
そんなぁ。 むしろ、このキノコだったら"1UP"できそうな気がするよ。

 
1UPしてどーする気だ、お前は。 とにかく先を急がねば。 このままでは山の中で日が暮れてしまう。

 
あ! なんかあそこに看板があるよ! きっとアレじゃない!?

 
お。 ついに辿りついたか。 いやー、よかったぜ。 ん? あーッ! お前!! 食うなって言ったのにッ!

 
いやー、我慢できなくて・・・つい食べちゃいました、キノコ♪。 お店がすぐ見つかるとわかってれば、我慢したんだけどね♪

 
まったくお前ってヤツは・・・。

 
くぅん・・・。

 
(続く)

2013年5月20日月曜日

のぶおクエスト(5) ~壺からの脱出~


 
なまいきな奴めッ! これでもくらえッ!!

 
おわっと!

 
あわわー!

 
くらえっ!!

 
おっと。

 
ひえ~!

 
だいぶ元気になったじゃねーか、のぶお♪

 
うん。 ミカワが来てくれたおかげで、なんか勇気がわいてきたよ!

 
おのれーッ! ちょこまかと~・・・! くらえぇぇッ!

 
おッ! あぶねぇーッ!

 
大丈夫、ミカワ?

 
あぁ。 今のはちょっと危なかったが・・・、大丈夫だ。 しかし、これじゃあアイツに近づくことは難しいな。 いったいどうすれば・・・!

 
そーなんだよ。 アイツ魔法ばっか使ってきて、やり方汚いんだ。

 
ほんと、最低のくそヤローだな。

 
まったくじゃ。

 
なんかモノ凄く悪口言われてる気がするな・・・。 だがそんなの知ったことではないわー!

 
<バリバリーーッ!!>

 
おっとぉ!

 
どうしよう・・・。 このままじゃ、らちがあかないよ。

 
(そーだッ!! ミカワをネコ化させることができればッ!! ネコに与えられた天性の運動神経を利用した敏捷性があれば、アイツにきっと近づけるッ!!)

 
<注)ミカワはオーガ族と猫族とのハーフのため、またたびを与えるとネコ化が発現するのだ。 しかし、当の本人はその時の記憶がとぶため、そのことに気づいていない・・・>

 
でも、こんな洞窟の中にマタタビなんかあるわけ・・・。 はっ!∑(゚ロ゚〃) あそこにいる"猫顔"したザコ敵は・・・!? ・・・アイツを倒せばひょっとしたら!?

 
不意打ちゴメーンッ!! <ズバッ!>

 
ニ゛ャー! Σ((Φ∀Φ*))!!

 
<バシュゥッ!>

 
<テッテレー♪ のぶおは戦利品として"またたび"を手に入れた。>

 
やったッ!! 思ったとおりだ!o(`・ω・́) よーし、これをミカワに! ミカワ、これをッ!

 
ム!? なんだこの・・・いい・・香り・・・は・・・?

 
むにゃにゃにゃにゃ・・・!

 
ニャー!

 
やった! 作戦成功だ!

 
ニャニャニャー!!

 
な、なんだ、コイツ!? 急に動きがッ!!

 
ニャーッ!

 
速すぎて、魔法の出しどころがつかめんッ!

 
ニャニャーッ!! <ガジガジッ!!>

 
ひー! いたいーッ! やめろー!

 
ニャニャニャーッ!!

 
痛い、痛いッ! くっそ、このやろー! これでもくらえーッ!

 
『ねこじゃら・ファンタジー!!』

 
<パァァァァ!>

 
ニャニャニャー!!

 
あぁ! なんだあの大量の"ねこじゃらし"はー!? ミカワ! そっちに行っちゃダメだーッ!!

 
にゃにゃにゃー♪

 
バカめッ!! これでもくらえ!

 
<バコーン!>

 
ニャーーーーーッ!!

 
ミカワーーッ!!

 
ハッハッハーッ!!

 
・・・い、痛てて・・・。 なんだったんだ・・・? オレはいったい・・・!?

 
『エナジードレイン!』

 
<ズキューーンッ!>

 
おわッ! なんだ!? ・・・ち、力が・・・、抜けていく・・・!

 
ミ、ミカワー!

 
フハハーッ! 残念だったなー! お前の体力はこのオレ様が全部いただくぜー!

 
な、なんだと・・・?

 
これでキサマらも終わりだーー!

 
くっそ・・・! 力が入らんッ!

 
ミカワッ!!

 
待てぃッ!!

 
<スタッ>


 
な・・・、なんだ!? 今度は! 何者だッ!

 
・・・あ、アナタは・・・!? バンホー長官ッ!!

 
フッ。 久々の登場だ・・・。 事情はすべて外のフタミに聞いてきた。 だが、こんな状況になっているとは思いもしなかったがな。

 
た・・・、助けに来てくれたんですか?

 
当然だ。 部下のことを守ってやるのが上司の仕事だからな。

 
ちょ・・・長官・・・。

 
また1匹、愚か者が増えたか・・・。 いいだろう。 お前もいっしょに片付けてやろうッ!

 
1匹? ちゃんとこの犬も数えたのか? それとも数え方も知らんとは頭の悪いヤツなのか?

 
バカめ! そんな犬ごとき、頭数にも入らんわッ! つべこべ言わずにかかってこい!

 
フフ。 そーか、そういえば、この犬―"モハメドアリーナ"のマスクを取り忘れていたな♪

 
<パカッ>

 
さあ、行ってこい。 モハメドアリーナ。

 
ワン!

 
・・・フッ。 なんだ? そんなお面とったところでなんだと言うんだ・・・? 主人の代わりに命をささげられるとは・・・。 なんとも可哀想なペットだのう。

 
いやいや。 こやつはペットではないぞ? ワタシの護衛犬だ。

 
護衛犬だと・・・? フッ・・、たかが犬ごときにいったい何が・・・!? ん?

 
グルル・・・

 
さあ、久々にその力を解き放つのだ・・・。 モハメドアリーナよ。

 
グオォォ・・・!!

 
な・・・なんだ!?

 
<ズオォォォォ!>


 
わわわ・・!

 
おぉぉッ!?

 
グオォォォーーーッ!!

 
えぇーッ!?

 
やれ、モハメドアリーナ。

 
そんなバカなーーーッ!? まままま・・・、待ってくれーッ!!

 
ウォゥッ!!

 
うわーッ、踏まないでーッ!!

 
<プチ。>

 
・・・!

 
・・・!

 
フッ・・・。 あっけないものだ・・・。

 
な・・・、なんと・・・!!

 
もういいぞ、"モハメドアリーナ"。 元に戻るのだ。

 
グルル・・・!

 
<シュルシュルシュル・・・>

 
ちょ・・・、長官。 その犬・・・!?

 
前にも言ったであろう、私の護衛犬だと。 これがこやつの真の実力だぞ。

 
ヒェーッ!( ゚ ロ゚)

 
ワン!

 
おや・・・? あそこに何か光が見えるな。 ひょっとしたら、あそこが出口じゃないのか?

 
むむ! ほんとうじゃ! きっとそうじゃ! そうに違いない!!

 
まさか、本当に外に出れるとは・・・。 奇跡だ・・・。

 
よかったね、じいちゃん♪ チムリさん♪

 
ん・・・? チムリ? あ・・・、あなたは"チムリ博士"!? チムリ博士じゃないですかッ!?

 
ああ・・・いかにも。

 
まさか、こんなところにいるなんて! 数年前に消息を絶って以来・・・探し続けておりましたぞ!

 
そうであったか・・・。 すまない・・・。 うかつにもこんな所に入ってしまったばっかりに・・・。 長い間研究も滞(とどこお)ってしまった・・・。

 
いや、あなたの研究はまだ必要とされてますよ。 さあ、早く帰って大王様のところに行きましょう!

 
そ・・・、そんな偉い人だったんだ、チムリさん・・・。

 
わし、だいぶ殴ってしまったわい・・・。(´・ω・`; ) ※前回参照

 
そうだ! チムリさん! マモーンはッ!? マモーンはどうなったの?

 
ああ・・・! なんとか息は吹き返したよ。 ・・・だが損傷がひどい。 早いところ、傷をなおしてあげないと、また危険な状態に陥るかもしれん・・・。 

 
そ・・・そんな・・・。 マモーン・・・。

 
・・・。

 
<ファァァァ・・・!>

 
え?

 
あれは・・・、例の・・・、『えだ豆の精霊』・・・?

 
<ファァァァ・・・>

 
ボクのところに戻ってきてくれたの・・・?

 
よかったのう・・・、のぶお。

 
<ファァァァ・・・>

 
・・・。

 
<バシーンッ!!>

 
ぶへぇッ!! なぜ殴るッ!!三)Д`)

 
<ファァァァ・・・>

 
どうやらこれで"許してやる"と言っておるようじゃ。

 
ハ・・・ハイ・・・。

 
<ファァァァ・・・>

 
え? この豆をマモーンに食べさせろと・・・?

 
<ファァァァ・・・>

 
わたしの持っている薬草では効きそうにないし・・・。 この精霊にかけてみるか・・・。

 
<パシッ>

 
マモーン君、これを・・・! これを食べるんだ!

 
ム・・・、ムー・・・ン。

 
<パクッ>

 
マ・・・、マモーン・・・。

 
ム・・・、ムムムム・・・! ムーン♪

 
マ、マモーンが急に元気になったッ!?

 
『 仙■』かッ!!Σヽ( ̄□ ̄ )

 
せせせせ、精霊よ! 助けてくれてありがとう!

 
<ファァァァ・・・>

 
ムーン♪

 
よし、みな思い残すことは何もないな? 全員、ここから脱出するぞ!


 
ふー。 やれやれだな。

 
よかったー。 無事に帰ってこれてー♪

 
久しぶりのシャバの空気はうまいのう♪

 
よ・・・よかった・・・!!

 
ムーン♪

 
ところで、ミカワよ・・・。

 
は・・・はい!

 
この壺はもう何十年も前から、オーガ界で使用を禁止されている・・・。 もし、これを使おうとしたのなら・・・お前ら部下といえど、厳罰を下さねばならない。

 
そ・・・、それは・・・!?

 
待ってくれ、長官! 彼らはわたしを助けるためにこの壺を使ったのだ。 彼らが来なければ、わたしはこの世界に戻ってくることはなかっただろう。 わたしの気持ちをくんで、どうか容赦してくれまいか。

 
・・・ふむ。 ・・・そうですね。 チムリ博士がそうおっしゃるなら。

 
チ・・・、チムリさん・・・。

 
フッ。 よかった。

 
むしろ、博士を救ったという点はなかなかの功績だな♪ はっはっは! よかろう、 お前らには一転! バカンスを与えてやろう!

 
え!?

 
ほんとに!? ケーキも食べ放題?

 
なぜだ・・・。 なぜ、バカンス=ケーキ食べ放題になるのだ・・・。

 
ハハハ! 任せなさい。 わたしが手配してあげるよ、のぶお君。

 
チ・・・、チムリ博士ーーッ! あんた最高だーッ!ヽ( ´∀` )ノ三

 
のぶお兄ちゃん!!

 
あ。 フタミちゃん♪

 
ごめん、アタシのせいでーッ! うえーんッ!

 
あ。 そっか。 いやいや、大丈夫だよ。 こうして無事に帰ってこれたしさ♪

 
というか、そもそも、のぶおの食い意地のせいでこうなったわけだからな。 お前が気にする必要は全然ないぞ、フタミ。

 
そ、そんな・・・!Σ( ̄□ ̄ )

 
たしかにお前の食いモノへの執念は困ったものじゃのう。

 
じ、じいちゃん・・・!

 
わたしの部下として情けない失態だな、のぶお。

 
ちょ、長官まで・・・。 みんなヒドいや・・・(´・ω・`)

 
まあまあ♪ 今思えばなかなか体験できない冒険だったじゃねーか♪

 
そうだね。 思い返せば、スリリングなおもしろい体験だったかも♪

 
冒険・・・? おもしろい体験・・・?

 
うん。 つぼの中はむちゃくちゃ広い洞窟が広がっててね☆ その中には見たこともない魔物とかがいっぱいいたんだよ♪ 少しこわかったけどね。

 
魔物~!? すごぉーい! 楽しそー!

 
え・・・?

 
アタシも洞窟探検したいー♪ のぶお兄ちゃん、連れってってー!

 
それは、ぜったい、ダメッ!!

 
は・・・はい・・・。